〜gravity OFF 02〜
2.逡巡
「とりあえず誰か呼ばんと…」
この状況では移動もできない。幸いなことに今日のスケジュールはみんなリハだけのはず。
「………誰呼ぼ…」
呟きながらすでに手は羽織ったカーディガンのポケットを探っていた。
「良かったぁ、携帯ポケットに入れてて」
呟く合間に手が覚えた手順で勝手にボタンを選ぶ。
トゥルルル…トゥルルル…呼び出しの音。
お願い、出てや。
「…はい?」
やっと出た相手に『とにかくなるべく早くウチに来て欲しい』と短く告げるとボクは電話を切った。 これでなんとか事態は動くだろう。
『誰を呼ぶか』。
物理的な問題もあって今呼べたのはあいつだけ。けれど、すぐに後の3人にも告げなきゃ、だし。
どんな風に知らせるか、それは結構大問題だ。頭の中をそれぞれのメンバーに『告知』、そうまさに 『告知』した時のシュミレーションが流れる。
真っ先に悲鳴をあげそうなのは松岡。
メンバー中唯一の、A型なあいつは頭の回転が早く気配りの塊で一番の苦労性でもある。見掛け以上、 いや見かけと裏腹なくらいに繊細な奴だから………。
一番動じないのは、多分長瀬。
それどころか逆に目をキラキラさせて『かっけぇ』とか言いそうだ。この『非現実な状態』のショック からは抜けられるかも………けど、このふたりでいくら悩んでも『打開策』とか『善後策』は多分出て こない。
太一…案外太一は冷静に物事にあたる。
ビビリだしパニクるけどそれを(特にボクには)見せない。物事をいろんな角度から分析するちからは ピカイチ。けれど、原因も対策もわからない今この状態で太一の三白眼と毒舌に晒されるのは…。
山口。『兄貴』に見えてその実一番おたつくんはこいつかも…いや多分こいつ、確定。
虫は嫌い、ぬるぬるは苦手、おばけにも弱い…もうちょい外見に近づく努力をしたらどうや、とたまに 思う事もある。まあ、あかんかった海も犬も克服しよったこいつには要らんお世話やし、減らん口で 『その言葉そっくりそのままアナタに返すよ…がに股でしょ、猫背でしょ』って数え上げられるのがオチ だから言わないけど。
あぁ…これから来てくれるあいつやこの状態を見たみんなが目ぇ回したり腰抜かしたりしませんように。 あ、涙ぐんだりも。
あ…………………?
ぼんやり物思いにふけっていたボクの耳はあいつが到着した気配を感知した。鍵を開ける音、ボクの名前 を何度も呼びながら近づいてくる足音…。 あんなぁ、ボクは犬やあらへんねんで?そう思ってボクは笑った……………今日初めて。
「さぁ、ご対面や」
これからの展開を想像してボクはゴクリと喉を鳴らした。
***
『あいつ』と対面するところまで行き着きませんでした・・・。
次回からは『会話』になるのでもうちょっと動きがあると思います。
『告知』、一人ひとりの反応を書いていった方が面白いかなーそれとも三人いっぺんに
まとめて、が良いでしょうか? 良ければ拍手等でご意見をお聞かせいただけると嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。
  
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