〜gravity OFF 03〜
3.連絡
あの人から連絡が来た時オレは海から帰って来て『もうちょいゆっくりできるかな』
なんて思いながらシャワーを浴びたところだった。
「……わかった。すぐ行く」
滅多にないあの人のあんな硬い声。
頭を疑問符に占拠されながら手短に通話を終らせ先に用意してあった楽器と荷物を引
っ掴んでオレは家を飛び出した。
事故らないこと、それだけを頭に置きながらの数十分。こんなに長く感じるのは初め てだ。
マンション地下の来客用スペースにクルマを入れるとエントランスの認証キーを押し
エレベーターに急ぐ。2基とも上層階にあるのを確認したオレは迷わず横の階段を駆
け上がった。悠長に待ってなんかいられない。
辿り着いて玄関横のインターフォンを鳴らそうとしたオレは、さっきの電話でのあの
ひとの言葉を思い出した。『迎えに出られへんから鍵開けて入って来て』…それって
どういう事だ?中で倒れて動けないのか?
とにかく滅多な事じゃ人に頼らないあのひとからのSOS。気ばかり焦りながら鍵束
に目当てのモノを探す。
カチャリ…。
ダブルロックを開けて入った家の中はシンと静まり返っていた。
ホントにノビてるのかも…最悪の事態を敢えて想定しながらリビングに入ってもあの
ひとの姿はない。
「…シゲ?シゲ………なぁシゲって………………シゲちゃーん?」
押し寄せてくる不安をわざと茶化しながら明るい目の声をかける。と。向こうの部屋
でかすかな気配。あっちはベッドルームだ。
「シゲ?いる?来たよ。入ってもいい?ってか入るぜ?」
「……山口」
小さくだけど返事が返った事に安堵しながらドアノブに手を掛ける。
「ちょお待って」
「へっ?」
言葉通り立ち止まる。
「とりあえず予告しとくな。なんやボクややこしい事になってんねん………やから、
ボク見てやぁ…泣かんといて、そいでから腰ぬかさんといて。先に頼んどく。おまえ
結構びびりやから」
凄い言われよう、だよな。あの人の中でのオレの性格認識に一人ごちながら口を開く。
「何その言い方………でもオーライ、わかった、わかりました。じゃあ入るよ」
ぞんざいな口をききながらも五感はフル回転。
どうしたの?『ややこしい事』っていったい何?何がアナタの身に起きたって?……
いつもと違うやりとりに感じていた胸騒ぎがより大きくなった。
聞こえた声はちょっとうわずって動揺してるけどいつものトーンで、どうも一番心配
してた体調不良じゃないらしい。
その事に一息つきながらオレはノブを回して部屋へ一歩を踏み出した。
***
ほんとは対面させる所まで行きたかったんですが、自分のトホホさに凹んでしまい
ここで一旦切りました。
やっと登場してくれた『あいつ』はみなさんが思っていた相手だったでしょうか?
予想の中にあった太一さんとか松岡さんのバージョンも色々考えては見たんですがやっぱり、 どう転んでもうちは『リセッタ夫婦推奨サイト』でした………。
良ければ拍手等でご意見をお聞かせいただけると嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました!
  
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