--研究室へようこそ--06 逡巡 面倒見のいい人だなぁ… ぼんやりそんな感想をいだいたところで我に返った。 あの、ここでこれから俺はいったいどうすれば……? このまんまだと永遠に俺のことを再認識してもらえない気がして、まだまったりした空 気の中にいる人達におそるおそる声をかけた。 「あのー」 ビクッと反応してこっちに向けられる訝しげな(片方からはなんだかやや剣呑な)視線 が二つ。 …つい今し方会話したところなのに。俺ってそんなに影が薄くて存在感ない? 「あ……ああっ!」 さっき階段の上と下で交わしたやりとりをやっと思い出してくれたらしい人がまだ数冊 脇に落ちてたファイルをもう一人に押し付けるようにして慌てて階段を降りてきた。 「すみません…お待たせした上にみっともないところをお見せしてしまって」 『本当に申し訳ないです』なんて恐縮した笑顔に名刺を差し出す…物腰からすると事務 局長、とかそんなポストの人っぽいよな。 「はじめまして、夕凪新聞社…キッズクラブ編集部の松岡と申します」 もうずいぶん慣れたつもりなんだけど、どうしても所属を告げる声が小さくなる。人事 部から念願の制作部に異動だ、と小躍りした挙げ句配属された『キッズクラブ』…子ど も新聞編集部。 仕事自体はやりがいあるし矜持もある、けどどうも俺の纏う元々の雰囲気、外見とその かわいらしい肩書きは落差がデカいらしくてよく名刺と俺の顔を何度も見比べられたり、 対象が『子ども』だとわかった途端対応がいきなり横柄になったりするから。 受け取ったその人は名刺を確認したけどふんわりほほえんだままで。 「大変お待たせしました。どうぞこちらへ」 変わらない表情とトーンに心の隅で安堵する。 彼の後に続きながらふと見上げるとさっきのヒーローは本の山と共にいつの間にか姿を 消していた。 07 対面→ *** 少しも進んでなくてスミマセン;迷いを抱えている紫さん。 ブラウザを閉じてお戻り下さい。 |