区切りの日を前に&久々更新

いろいろあった年の区切りの日を前に、久方ぶりに浮上しました。

非常にご無沙汰しております。もしかするともうここを見てくださる方も居られないかもしれませんが。

低浮上ですが(主たる居場所はtwitter)相変わらず彼らと彼らの音楽が大好きです。

大きすぎる痛手に心折れそうになりつつも前を向く彼ら、そして治療と反省の日々を送っているはずの彼も含め。

茂子さんのイベント@くずはで「TOKIOはこのままでは絶対終わらせません!」という城島さんからの伝言をきいたときに腹を括りました。

 

ブログに何度か書いたことがある気がしますが、身近にアルコール依存と戦う兄がおります。治療に結びつけてから10年が経ちました。この先の治療について少しですが知る人間としてそのあたりを以前イベントのペーパーとして書きました。

エンタメでもなんでもなく、メンバーも出て来ずDASHのPとDのお名前をお借りする形での説明文みたいなものです。
もしそれでもOKだと言われる方だけつづきにおすすみください。
明日は明日で一つ更新する予定です。
⇒【島田Pと斎藤Dの会話】

 

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【2018 5月上旬】

編集機材でディレクション中、手を止めてしまっていたことに気づいて頭を振る。余計なこと考えてる場合じゃない、俺がここで考えたってなんの結論も出ないし何も変わりやしない。今やるべきなのは…。

「お疲れ、どうだ?」

掛けられた声に思い切り肩をびくつかせてしまって、声の主のPに笑われた。

「お疲れっす…」

恨みがましい目で見上げる。

「驚かせてすまなかったな。そして、難しい作業を押し付けて申し訳ない」

疲れた声が降ってきて目を瞠る。同時にブラックコーヒーの缶が差し出された。

「いえ、必要な作業ですから」

今、俺がしているのは膨大な映像から『彼』を切り分けていく作業。

「正直、厳しいっす。どのシーンにも存在が色濃くって。紐付してる資料すべてから切り分けるのって正直無理な気がします」

それだけ彼、達也さんがこの番組の柱だったってことだ。作業の手を止めないまま答える。

「俺たちが被せた『万能』の冠があの人には重かったんですかね…」作業しながら頭の中を回っていた、けど、言うつもりのなかった言葉がつるり、滑り落ちた。

彼や彼らが全力を注いでいた自分たちの番組。全力だって胸を張って言えるのは一緒に汗みどろになりながら一緒に開拓してきた、その時間を共有しているから。

その中で、どんな作業も飲み込みが早く器用に応用もこなす彼は、知識は確かなのだけれどどこか突拍子の無さを持ち合わせる相棒の彼を楽しそうにフォローし、弟分の彼らにも的確な指示を飛ばし文字通りこの番組の『屋台骨』だった。ただ、その『要』なポジションが彼には重荷だったとしたら……。

「頼りっぱなしだったもんなあ、島の作業とか」

背丈は俺よりかなり小さかったけど、パワーじゃ互角だったし、と格闘技を趣味とし、身体を鍛え続けているPの言葉に生温い目になった。

「酒の飲み方には注意してね、とは言ってたんだけどな…たぶん、もうその頃には酒が彼のコントロールを外れて暴走しだしてたのかもなあ」

大きく息をついたPは記憶をたどるように語り出した。

「俺、実は身近にアルコール依存と戦ってる人間がいるんだよね、身内に」

「え」

思わず背後をふり仰ぐ。

「まあ一緒に住んでるわけでもないから、全貌は俺にも見えてないんだけどな」

でも…だから、あの人がこの先どんな風に酒や自分と向き合ってくのか、うっすらとだけは見えるんだ、こっから先の道のりが、その言葉に。

「会見でも言われてたけど、彼に正式なアルコール依存症の診断は下りてない。アルコール依存の診断には『精神的依存』と『身体的依存』そして『問題行動』が要件として必要なんだそうだ。

退院してその日に飲んでしまうってことは『精神的依存』はあるんだろうけど、多少酒臭いとかあったとしても仕事には穴は開けてない。禁断症状とかまで行ってないから『身体的依存』とは判断されなかったんだろう」

「たしかに、多少二日酔いみたいなことはあっても作業してくうちに汗とともに酒もぬけてった感じでしたよね。酒が切れた状態でもそんなに変わった感じはしなかった」

「だからこそ我々も、確認したわけじゃないけどたぶんメンバーも心底びっくりしたわけだよな。会見で『なぜメンバーなのに、あそこまでに止められなかったのか、気づかなかったのか』って責められてたけど、それは酷ってもんだ……人って本能的に弱みは隠そうとするもんだし。いくら仲がいいって言ってもメンバーそれぞれ多くの個人の仕事を抱えてるわけだし、いい年した大人だからこそ踏み込まない・踏み込めない領域ってもんがあるだろ。俺は週一くらいで会ってた相手だったのに三年間くらい気付けなかった」

自嘲するように吐き出したPの横顔はその時のことを思い出しているのかとても険しい。

「どんな治療をするんですか?」

「俺の知ってる例だと日々の治療には抗酒薬ってのを使う。液体で、それをおちょこ一杯くらい飲むんだ。なんだそれだけ?って思うだろ?ただ、もしその薬が効いてる時にアルコールを入れるとな、七転八倒する」

「うへぇ、七転八倒っすか」

同じように酒を愛する身としては聴くだけで身震いする。

「そうやって体のほうから酒と距離を置くようにしつつ、メンタルの面からのアプローチも始まる。むしろ、こっちがメインかも」

「ある程度はきちんと手法が確立されてるんですね」

「ああ、医療的な治療が必要ならそれも並行して、今回彼の言動からすると性への認識改善プログラムなんかも入るかもしれないけどメインはカウンセリングと当事者同士の自助会『断酒会』や『AA(アルコールアノニマス)』の活動に参加することらしい」

そういった組織で過去の自分を見つめ直し、今後のことを考えて断酒する、それが唯一依存から脱却する道なんだとそいつは笑ってたな。

「克服したらまた飲めるようになるんですよね?」

素朴な疑問に帰ってきたのはぶんぶんと首を大きく横に振っての否定。

「たとえ一年、二年と禁酒に成功しても『ちょっと一杯だけ』と酒を口にしたら最後、さらに酒の暴走をとめられなくなるらしい。そういうのをスリップすると言うそうだ」

「それは大変だ…」

「だから断酒する人は『ああ今日一日飲まずに居られた』を積み重ねていくしかないんだ。すべって、また酒を止められなくなって挙句の果てに野垂れ死に…そういった例を付き合いの中で俺も何件か見聞きしてきたよ」

だからこそ、彼のこの先の道のりのハードさもわかる。

「ただ、だからこそあの人には希望をなくさないでいてもらいたいんだ。希望があればがんばれるから」

「そのためにみんながんばってるんですもんね」

事が明るみに出てから、それこそ各所謝罪・調整・打ち合わせとガチガチなスケジュールの中、四人は寝る間も惜しんで海岸・新宿・島へと向かい作業を続けた。

それは今まで積み上げてきたことを無にしないため、ひいてはいつか・遠い未来であってもいつか彼が帰ってこられる場所を守るためだ。

「明るい材料もあるんだぜ」

空気を変えるようにPが言った。

「野垂れ死ぬ人が居る一方で、きっちり飲酒習慣と決別して社会復帰したり、今度は依存症で悩む人を支える側になってる人もたくさんいる。たとえばゾノさんだって」

Pが挙げた名前に納得。

「ああ、彼はきちんと酒を止めて復帰されてますもんね」

「だから我々も『いつか帰る場所』を守り抜くために今頑張ろう……途方もなく険しい道のりかもしれない、けど、きっと彼なら、彼らなら前例のない道を切り開いてくれると思う」

今までいくつの【前代未聞】を作り出してきたよ?

「ですね。『僕たちもTOKIOです』って答えたからにはここでもうひとがんばり」

椅子に座ったまま大きく伸びをしたらPの頬が緩んだ。

「そうそう、その意気。手を止めてすまなかったな」

そう言ってまた各部署調整に戻ってゆく。彼もまた戦ってるんだ、番組存続のために。

「達也さん、みんな戦ってるから一緒にがんばりましょうね!」

少しクリアになった頭の中に居る彼にそう呟いてまた作業に戻った。

【チームTOKIO】の明日を作り出すために。

(終)

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