-黄・紫 at Portugal-

ジリリリリリ…。

タイムアップのベルが鳴り響く、自転車で走る俺の胸元で。



旅の相棒は遥か上空、聞こえてるとは思えねえ。ゆっくり減速した俺は文字通り『飛ん
でる』兄ぃを見上げながら背後、はるか彼方赤い砂の大地に思いを馳せた。

俺達は奇数だからこんな時にはどうやったって誰かが…ほとんどの場合はリィダァが独
りになる。
実際のところ一番いろんな場数を踏んでんのはリィダァなんだろうなとは思う。頭の回
転も早くて機転も利くしスタッフにも『彼なら面白い絵が撮れる』そんなイメージがあ
るんだろう。

けどさ『まかしといて、僕は全然大丈夫やから』『ちっちゃい頃からの処世術、見てて
みぃ?』なんて笑う、その顔を見たくねぇんだよ俺ら。
誰とでも馴染みそうな柔和な笑みの下人見知りな本性がわかりすぎるから、分厚い猫の
下に隠されてても。
ほんとはいちばん独りが嫌いなくせに…そんなことを思いつつリィダァがいる場所まで
繋がってるはずの空を仰いだ。






帰りの飛行機が飛ぶ地まで半日弱。
まだ仕事の残るスタッフを置き去って松岡とただひたすら陸路『約束の地』集合地点を
目指す。

『ちゃんと帰って来てよ?でないと迎えに行くよ?』

あの人はジョークめかした言葉の裏をわかっていてくれるだろうか。
考えるより先に体が動く。
とりあえずタイムアップ時点でのあの人の無事は一緒にいるスタッフからの連絡で確認
できてるけど、なんせ相手はシゲだから。

ほんとは誰よりしっかりしててしなやかでしたたか、それは長い付き合いでわかってる
のに……なのに一番放って置けない気分にさせるヒト。

言葉も文化も習慣も常識さえ違う国。国内だって危なっかしいのにって心配といや前回
のスイス発のロケだって結構ワインとか飲んでうまくやってたからなんとかなるだろう
…そう思う心がせめぎ合う。

無理やり押しつけるみたく持たせた俺らの形代が彼を守ってくれるよう目を閉じ強く念
じた。







青・赤 at spain


4人/base camp