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ジリリリリリ……。 タイムアップのベルが闘牛場手前の道に響く。 「ふう…」 辿り着けなかったな、結局。 漏れた溜め息はどちらのものか、俺らはどちらともなく自分達がやって来た方角に目を 向けた。 ねぇ大丈夫ですよね? そう言って向こうを見透かす長瀬の不安げな表情に『心配ないって。あの人は信用なん ねぇけどちゃんとスタッフが一緒だし』強気な顔で笑い返しながら、それでも俺の中の どこかが警報を発するのを感じてる。 「どうします?せっかくだし見て行きます?闘牛」 順調だったしちょっとなら余裕ありますよ、とスタッフの声。 観たいのはやまやまなんだけど…。 「山口くんと松岡チームは?」 途中連絡を取ってたのは知ってるし。 「あっちも順調でしたよ?」 「そのまましばらくのんびりするって?」 「…いえ、それがなんだかすごい勢いで撤収されるらしくて…周りの風景を押さえたい と言ったスタッフと別行動で先に集合地点に移動されるそうです」 少しあきれてるような口調。 「なら俺らも戻ります」 隣で長瀬の声。 「もし押さえなきゃ、な風景が残ってるなら俺らも先に戻ってていいっすか?」 やけに真剣な表情。 いつにない迫力の長瀬にディレクターが押されてる。 交渉の結果俺らもコーディネーターと先に集合地点に戻ることになった。 画面では滅多に見る事ないくらいシリアスな表情で眉を寄せ口をぎゅっと結んだままの 長瀬。 野生の勘か? お前がそんな真剣な顔したら怖えぇじゃねぇかよ…そう茶化すことも出来ず南東の空を 見上げる。 ねぇリーダー。 結局どこにいてもあんたを心配する運命なんだよ俺ら、多分。気の抜けるような笑い顔 が傍にいないと落ち着かねぇ。まぁ俺以上にそわそわしてるコンビが隣の国にいるだろ うけど。 だからちんたらしてないでとっとと帰って来なよ。 俺ん中にある磁石の針があの人をずっと追っかけてる、ずっと探ってる。 普段意識する事のないその針は俺が切羽詰まって不安な時だけ表れて……ねぇリーダー 俺馬鹿だし難しい事よくわかんないし俺も道間違えるけど。 5人いれば無敵だから、リーダーの声ならどんなところにいても聞き取れるから。 だからほんとに俺の、俺らの事呼んでよ。 ねぇ?リーダー。 黄・紫 at ポルトガル 4人/base camp |