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             02 coffee break








なつっこい大型犬と華奢な飼い主コンビ(あれじゃあ『トモ』が全力を出しゃあ引きず
られんのは間違いなし、だよな)とのハプニングのあと足を向けた喫茶コーナーのコー
ヒーはたしかに美味かった。

さあ仕切り直し。
あと25分か。

しかしよく考えたらなんで大学構内に犬がいたんだ?

別に周りから浮いてる風もなく存在してた(それどころか『トモ〜』なんてキャンパス
を歩く学生から声がかかったりしてた)あいつ…もしかして獣医学科とか併設されてて
そこで飼われてるんだろうか。そういや『馬がごくフツーに構内をぱかぱか歩っててた
まにびびる』なんてメモの主が言ってたのを聞き流したような気も…。





さっきの存在の不可思議に気をとられてるうちに本題を忘れかけてた。
わ、あと10分ちょいしかねぇ。

もう一度アポ相手の資料をチェックしといた方が無難かな。

ぇぇと…。
俺はカバンからクリアファイルを取り出した。


城島助教授
1970年生まれ奈良県出身、○○大学大学院後期博士課程修了。専門は主に飛鳥時代
から平安時代の祭祀遺構。発掘報告書、専門学術書からジュニア向け入門書まで著書多
数。一昨年若手研究者の登竜門と言われる浜田賞を受賞。
陰陽道、山岳信仰、歴史地理や民俗学などにも造詣が深く、また花粉分析、年輪年代測
定法、蛍光X線分析など学際的な手法を積極的に取り入れることでも知られる。
鋭い観察眼で微細な情報から当時の環境や状況を的確に分析する手腕には定評が有り現
在大学では考古学概論、考古学特殊講義を担当。

『プロジェクトJ』もしくは『チーム城島』と呼ばれる組織を率い、抜群の行動力を誇
る。




何度目を通しても四角四面、なんだかとっつきにくそうなプロフィール。

ん?
奴から渡された資料の底に粒子の粗い写真のコピーが隠れてた…モノクロかよ、顔のあ
たりコントラストでほとんど潰れてんじゃん。

こっちに興味なんてひとかけらも有りません、そんな感じでにこりともせず左下を向い
た男の横顔。

ん?
一瞬脳裏をちらりと何かよぎったような…。



んな訳ねぇか…もう一度腕時計を確認して立ち上がる。

どうかこれから面会に行く助教授がガチガチ頭な堅物じゃありませんように。



                          03 出陣→


***

知恵を絞ってもこのレベル;なプロフィール、でした・・・。

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