DASH井戸再生SP

こっちはどうにもこうにもタイトルが浮かばず・・・。

まんまでごめんなさい。

まぼのモノローグ、5月イベント無料配布の一部改変バージョンです。

 

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–DASH井戸再生SP–

 

「TOKIOと一緒だよ。アナタが崩れたらみんな崩れる」

そんな言葉が耳に飛び込んできて思わずTVを振り返り、同時に咽せた。

島で自分と替わって井戸に下りようとするうちの最年長に兄ぃが掛けた言葉。

「何こっ恥ずかしいこと公共の電波で言ってんのよ兄ぃっ!」

脳内で目一杯わめきながら器官に入りかけたご飯粒をひとしきり咳払いして回収したころには画面はすでに次の場面に切り替わってて、さっきの言葉がもたらした衝撃の落ち着かせ場所に困った俺はそれを今も持て余し、掌で転がしてる。

それを笑いに転化させるでもなく素の顔で言えるあなたはすごいよ兄ぃ……そして良いところなのに勝手に自分で噛んでオチをつけるリィダァも。

そして、そりゃあもしかしてこの2人にとってはこの空気はちょくちょくあるいつものことかもしれないけどさあ、あまりにもそのまんまをたれ流しすぎじゃね?慣れすぎだろスタッフも。
現に井戸の先生、笑顔を浮かべてはいるけど若干引きつって見えんじゃん。

兄ぃが言葉を捧げた相手、それは『もうすぐ四三』そう連呼されるアイドルであり俺たちのリィダァ、そして兄ぃの大切な相棒。
野菜の選別の手際とか妙な部分で評価されたりはするけど、基本『運動神経ダメダメでリィダァってのもあだ名、貫禄の欠片もない』そういじられるのが常な四十路。
まあそれはメンバー五人居んのにセットかコンビ売りされてるに違いない(もしくは……まさかスタッフに袖の下とか渡してないよね?兄ぃ)ってくらい隣にいる四一歳と比較されるところも大きいだろうけど。

たしかに運動能力はメンバーの中では見劣りするかもしれない。けどそれは比較対象がやたら体力自慢揃いの『メンバー』だから。たぶん同年代のサラリーマンと比べたらそこそこの線はいくだろう……全力を出せば。
妙に自ら設定してる駄目キャラに忠実だからなあ、あの人。散々ネタにしてきてなんだって話だけど、たまに…いや、それがメンバーみんな歯がゆかったりすることも結構ある…………まあ、だからこそライヴで輝くんだけど。

ジキルとハイドのように別人格を隠してるんじゃないかと背中に切り替えスイッチを捜したくなるくらい、ライヴではまるっきりいつもと間逆。よく『デザートは別腹』とか女の子が言うけどあの人にとってもきっと『ライヴは別腹』なんだろう。

それとジジイと揶揄されたりするけど、実は一番トラブルと縁遠いのもこの人(あと長瀬)だ。こないだのトークライヴんときにも『リーダーの大きな怪我とか記憶にないね』と話題になってた。

頼れる見かけと裏腹にポリープだ盲腸だ骨折だ……と体調の波が激しい兄ぃ。入院騒動もあった。太一くんも盲腸でダウンしたりしてるし、俺は去年新聞を賑わしたりしちまったりしたし。

そう考えると安定の低空飛行なんてからかわれつつも仕事に影響をきたしたことのないあの人(と長瀬)の自己管理能力はもしかしたら結構すごいのかもしれない。

そんなことをぼーっと考えてた俺は『痛っ!』ってリィダァの本気の悲鳴、そして兄ぃのマジ焦りの『危ない危ない危ない危ないっ!』って叫びにハッと焦点を画面に戻す。
このあとなんだね、兄ぃが言ってたの。

 

 

覚悟して見たはず、なのにCMを挟んでリプレイされる衝撃映像に「兄ぃ、いったいなにやってんのよっ!」そう叫ばずにはいられなかった。
事故っつうかヒヤリハットのアウトラインの報告は発生直後に前もって聞いてた。『ヘルメットあって助かったわ~』ってへにゃりと笑ったリィダァに実際のダメージがそう残ってないことも知ってる。
画面には出してないけど真っ青になったスタッフに『大丈夫やからこのまま続行』と伝え、やりきるまで病院に行こうとはしなかったあの人。

だけど。

井戸枠の固定されてなかった唯一の板が兄ぃが操作するバケツがぶつかったことで外れて落下、そして真下で作業中のリィダァに当たった……そう聞かされてはいたけれど、実際映像で見るそれは血の気を退かせるに充分な代物だった。たぶん太一くんや長瀬もこれを見てたならきっと俺と同じ反応をしてるだろう。
これはもうはっきり言ってヒヤリハットのレベルを超えてるよ。

「……だからか、兄ぃのあの態度」

もともと兄ぃがあの人を甘やかすのは結構普段からだけど、そのトラブル以降の兄ぃのリィダァへの優しさはそれを遥かに超えて尋常じゃないくらいのものだった。

荷物を持ちドアを開けて、靴の脱ぎ履きも傍らで支え、打ち合わせも代わり。それってリィダァにはありがた迷惑なんじゃ?ってところまで構おうとして。
兄ぃの気持ちもわかるからと好きにさせてたリィダァも衣裳への着替えを手伝おうとさえする山口くんに『エエ言うてるやろ山口っ』『ほんとに大丈夫?』『大丈夫やって、お前しつこいで』そんな風に剣突食らわせたりしてた……そんな記憶が甦る。

けど、たしかになんでもしてやりたくなるレベルだわ、これは。

とりあえずOAに乗せられると判断できるくらいのもので(けど、『カラスの呪い』ってなんなのよ、もうちょっと気の利いたこじつけはなかったの?)幸いなことに大きな事故には到らなかった。
けど『大事な相棒を危ない目に遭わせた原因は自分』って事実は兄ぃの矜持を大いに傷つけただろう。それはもしかするとリィダァが被った物理的な衝撃よりもずっと深いかもしれない。

「通常業務にリィダァを守ることも入れてるような人だからなあ」

もちろんその気概は俺たちだって持ってるけど、兄ぃのはもう細胞分子に染み込んでるレベルだから。

明日の収録はちょっといたわってやろう……。あのロケがいつくらいだったかを棚に上げてそんなことを思う。
きっとリアルタイムじゃなくても太一くんも長瀬もこれを見るだろう。OAされるのは現況とはずれたちょっと前のものだけど、島の状況を再確認するのに視覚情報に勝るもんはないから。

再度罪悪感を煽られるに違いない兄ぃも含めリィダァに訳もなく優しいメンバーと、それを薄気味悪がるリィダァ……そんな映像が浮かんでくすりと笑う。

覚悟しといてよ?リィダァ。ついでに打ち身が消えたかも確認するからね?

どうせなら『頑張ったで賞』みたいにリィダァの好きなもんで且つみんなでつまめるモンでも持ってってやるか、そう決めて立ち上がる。冷凍庫を覗き手羽もとを出し頭ん中で献立を組み立てつつ明日に思いを馳せた。

 

 

 

 

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