交わされた会話




久々にメンバーが揃う収録。
局の廊下を歩きながら鼻歌がこぼれる自分に気づいて苦笑。まあ久々だしな……そのまんま足取りも軽く楽屋のドアを開ける。

「おっはよ〜」

中にいたのは松岡だけ。後の三人は渋滞に嵌ったり取材が押したり(半オフだという長瀬は多分いつものごとくドタバタ走ってくるだろう)してると連絡が入ってるらしい。まあ、俺らがたまたま早かっただけで本来の入り時間まではまだちょっと余裕もあるし。
雑談しながら机の上にあったテレビ誌をパラパラ斜めに眺める。
表紙は斗真。他にも今クールにドラマが入ってる櫻井、松本や中居くんたちが決め顔で微笑む誌面を流し読みしながら負けてらんねえなぁ、なんて思う。
ええと、自分の番組は…と。男子ごはんにタイノッチにニッポンの味方とすぽると、DASHに5LDKに…。

「ねぇ、太一くん。今度のソーラーカーもやっぱりリィダァと兄ぃの島巡り?」

ちょうどDASHの欄を見てたら問いかけられた。

顔を上げる。と、軽い調子の口調と裏腹な表情が俺を見てる。
もしかして不自然にならないようタイミングを計ってたのか?つくづく松岡だよな。
感心しながら口を開く。

「ああ。こないだ初島巡ったとか聞いた気がするし。この分だとまだしばらくは続くんじゃね?
てか、直接聞けよ一般の視聴者じゃねぇんだから。どうせもうじき来るだろ」

ソーラーカー名物、『急ぐ旅だが』なんて断りが入る毎度毎度の寄り道。その中でも山口くんが島好き(以前聞いたら一番?そりゃもちろん『城島』だよ決まってんじゃん、なんて超爽やかに笑い飛ばされてめまいがした覚えがある…たしかに酒の席だったけどさ。この酔っ払いが)なのはよく『島巡りてぇなあ』と呟いてることからも窺い知れるし、リーダーも初めの頃より運転も上手くなったしロケ続きで体力的にはキツいみたいだけど楽しそうだし。
番組としても『村』と並んでここ数年番組の柱になってるこの企画をあっさりゴールで終わらせるのには未練もあるんだろうから。

「聞けねぇから太一くんに聞いてんじゃん。来たって打ち合わせとかでなかなか腰落ち着けてねぇんだからあの人……でも、ありがと。そっかやっぱりそうなんだ」

そう呟く松岡の顔には『良いなあ』とでっかく書いてある。
たしかに京都と東京を行ったり来たりのタイトなスケジュールがまだもうちょっと続くんだもんな、お前。

「タイミングが合った分は見てるんだけどさあ。ここんとこ…っていうか年明けてからなんだか見る度あのふたりばっかなんだよね、ソーラーカー以外でも」

そう言い募る口がこの上なくアヒルになってるのは意識的にかそれとも無意識のなせる技か?

「かもな。俺も久しく乗れてねぇもん…って松岡お前、前に一回リーダーと乗ってなかったか?茶摘みとかしてたやつ」


「…去年だよあれ」

ふう
溜め息をひとつついた松岡は切り替えようとしてか『そう言えば』とやんちゃに笑う。

「俺と太一くんってコンビだけまだないんだってさ」

「は?なにが?」

「ソーラーカー。
『他の組み合わせは少なくとも一回はあったのになんで太一くんと松岡くんのコンビは今まで一度もないんですか?そうは見えないけど実はお互いに苦手だったりするんですか?もしかして』ってメールがラジオに来てて見せられたのよ、こないだ……エラい直球勝負なメールだね、ってスタッフと笑ったんだよね」

思い出したように笑いをこらえた声で言う松岡。

「へぇぇ」

思わず返せたのはそんなどこか間抜けな相槌だけ。

「足掛け7年?8年?それだけ長くやってんのに一度もふたりでソーラーカーやってねぇらしいよ俺らだけ。俺もそのメール読んで初めて気づいたんだけどさ……そいで考えてみたらたしかにリィダァとも兄ぃとも長瀬とも一緒に乗ってんだけど太一くんとはやってないんだよね。そりゃ不仲説も流れるってか」

「なんだそりゃ。でもそういやたしかにお前とは乗ってねぇな」

「でしょ?なんかタイミング合わないよねぇ。けど気付いたんだしせっかくなら乗りたくねぇ?ゴールまでに…乗れっかなぁ」

そう首を捻る表情はドラマでクールに人を殺めてる姿とはかけ離れた年相応のもので。

「あとひと山越えたら撮了だろ?それまでなんとか頑張れ。俺もマネにスケジュール調整頼んどくからさ。せっかくだし実現させようぜ?そういった部分も考えて、の『のんびりまったり島巡り』でもあるんだろうし」

うっすら見えてきたラスト、ゴール地点。
個人の仕事が8割を超える今、(仕事だから緊張感は持続させてるつもりだけど)半日あるいは1日メンバーとふたり一緒に過ごせるなんてめったにない訳で。

「あのふたりに独占されっぱなんてもったいねぇじゃん?お前ももうちょっと強く頼んでみろよ」

「そうだなぁ…ダメ元で言ってみようかな。なんとかちょっとでもいいから乗りたいよねぇ」

どっちかっつうとハードな見かけの印象と裏腹に気ぃ遣いなこいつは我慢強い。それは美点でもあるけど…たまには主張してもいいんじゃねぇ?これだけ頑張ってんだから。

予想通りドタバタ走り込んできた長瀬の世話を『なにやってんだよ』なんて憎まれ口を叩きながらも嬉しそうにやいている松岡(そうは言ってても多分なかなか言えない気がする)を眺めながら俺はマネに俺と松岡二人分のスケジュール調整を頼むメールを打った。(口頭より文書の方がいざ、っちゅう時には威力あるんやで?っていつかリーダーも言ってたし)
送信、っと。
ゴールが早いかスケジュール調整が早いか………マネの有能さを信じて俺もあいつらとの会話に加わった。
 
                                                                    end.

***

見直し隊のお話を、とアンケートからの意見で頂いてたので書こうとしたんですが…。
乗ってないですよね?このふたり。(見落としだったら蒼白になって下げますが;)ということでこんな話になりました。
ぜひゴールまでに見たい組み合わせでもあります。実現、待ってます!!


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