進化形進行形
【J+K+M+N+Y=T the present time N 】
2014年11月02日、ホームグラウンドでTOKIOは二十歳になった。
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暗転の中、スポットに浮かび上がる二本のギターと俺たち。
ギュィーン
楽器を使っての駆け引きタイムの始まり。
挑む。
誘う。
挑発する。
その日によって俺の提示するリフもリーダーの返し方も違う。
毎回完全真剣勝負。
ああ、楽しー!けどこの時間も今日で最後なんだな……そう思ったらいろんな光景が頭をよぎった。
デビューしたころ、俺は格好つけて動くのが苦手で。頭ではわかってるのにいざとなると動けなかった。せっかくのステージなのに大きくつかえない自分が情けなくて、今度こそと頑張るんだけど満足いかなくて落ち込むその繰り返し。
山口くんの曲中のリズムを取る動きが最初はそんなでもなかったのにだんだん身体全部を使ってのダイナミックなものになってったのもたぶん俺をカバーするためもあるんだろうな、そう感じていても直接なんて訊けやしなかった。
ああ、ダンスみたいに決まった振りがあればまだいいのに。
そんな俺を見かねて茂くんが出してくれた助け舟、それがツインギター。
「ずっと小島が居ったやん?やから自分以外にもギターの音があった方が落ち着くんよね、なんか。音にも厚みが出るし遊びも入れられる。いきなり全部なんて言わんでええし、まずできる曲からでかまへんし……やから、いっぺんやってみぃひん?」
その言葉に、知り合った頃から茂くんを捉まえては夢中になってギターを教えてとねだってた俺はすがって。そしてそれを支えにして少しずつ自信をつけていった。
それが詞を曲を作りさらには編曲、ライブDVDの編集なんかもするようになった現在の俺への一歩目。
今回、敢えてギターを持たずに歌う曲を増やした。今となってはギターを構えてる方が落ち着くんだけど敢えて。「原点回帰やな」ってリーダーが笑うから「うんそうだね」と笑い返す。
「茂くん」からいつの間にか呼び方が「リーダー」に変わったように20年という年月を重ねるうちに経験値も知らず知らずに上がったのか、ふと気がつけばギターなしでももうステージの広さに不安を感じない自分がいる。
ホームともいえるステージを右へ左へ動いて、ぐっさんにじゃれつき、まぼのリズムに合わせて首を振る。リーダーの肩に懐き、時には太一くんのキーボードブースにお邪魔……気づけばそんなことが苦もなく自然に出来るようになってた。
TOKIOはバンドだからもともと舞台装置も火薬なんかの特効や会場によって設置される花道以外は太一くんがたまにショルキーを使ったり、まぼのドラムセットがせり上がったりするくらいで結構シンプルだったけど、10周年を超えたあたりからさらにいろいろ、花道とかも削ぎ落としてメンバーの動きも大きくはなくなってる。
だからその分も俺が。
キュイーン
のりのりのリーダーの音に意識を引き戻される。
俺が奏でるリフをアレンジして返してくるリーダーの音。ごつくはないけどしなやかでまんまリーダーを体現してる大好きな音色。
ご機嫌だね〜。オーラスだからって攻めすぎじゃない?
その余裕の微笑みが憎たらしい。
だから、ちょっといつもとは違う方向にひねりを聞かせて変化球。
お?!と一瞬目を大きくした横顔にしてやったり。
そのテンションのまんまでみんなが一番好きだと言ってくれた曲のイントロへと滑り込んだ。
あー、ほんとこのままずっとやっててえな。
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【J+K+M+N+Y=T the present time K】
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