LOVE HOLIDAY!!-束の間の休日その1(Y)-


「え?あ、はい。わかりました…」

俺達の突然の休日は思わぬ形で幕を開けた。


通話を終えたマネージャーが目一杯困惑した顔で口を開く。
その説明によれば、ロケ先の都合で資料映像を前もって押さえにいったスタッフたちが天候の急変によるアクシデントで足止めをくらい、動きが取れなくなったらしい。

「途中の国道に土砂崩れがあって、しばらくはどうにもこうにも動きが取れないらしいです…」
「えー?こんないい天気なのに?」
「バカ、今の天気だけでどうにかなった訳じゃないだろ」
「そうそう、今までの積算雨量とか元々の地盤の強さとかいろいろ関係するよ」
「さすが兄ぃ」
「そっか、たしかに島でも雨が止んでしばらくしてから井戸の水位があがったりしますもんね」
「せやな。けど、それは難儀やなあ」
「ひさびさなメンバー全員勢揃いだからってスタッフみんな張り切ってたんですけどね」

ここは秋の特番の為にスケジュールを合わせて降り立った空港近くの一軒家…通称『基地』。撮影機材の保管やスタッフの休憩スペースも兼ねた場所で俺たちもたまにお世話になる。申し訳なさそうに言うマネの言葉にみんなと顔を見合わせた。

「そんな顔せんでええよ。そんなん誰にも予測でけへんのやから」
「都会なら別の道とか迂回路とかあるかもしれないけどね。それに、その行き先ってたしか岬の突端とか言ってなかったっけ」
「たしかそう言うてはったな。ならとりあえずその土砂が片付かな動かれへんのとちゃう?岬の向こう側に抜けられたとしたってそっからこっちへ直に続く道があるかどうかもわからへんし」

とりあえずおおまかな段取りを把握してる俺らが確認してる間、緊張を滲ませながら頷くマネは各所への連絡に忙しい。

「どうしようか」
「そうだな」
「せっかく来たんだから、無駄足はつまんないよね」

一日を有効に使えるよう、朝一番の七時台の飛行機で降り立った訳だし。

「だな」
「ねぇ、リーダーお腹すきましたぁ」
「いまこのタイミングでいうことはそれか、てかリィダァはお前のオカンか!」

そんなじゃれあいを耳にしながらずっと思案顔だったシゲが、なにか思いついたみたいだ。

「なあ、それやったら僕ら先に島渡ってもええかな?ここでぼーっとしてても時間の無駄やし、先に渡ってもええんやったらいろいろ確認しながら待ってるし」

あ、それいいかも。

「いいんじゃない?、それ。ここで何もせずに待機してるより」

だからそれにのってみる。

「あ、それいい!」
「ゴープロくらいなら僕らでもセッティングして撮れるんじゃないすか?」
「手順はだいたいわかるよね」
「実際リィダァ何度も自分でセッティングして撮ってたじゃん。視聴者からの手紙とか読んでたよね?」
「うん、だいだいわかる…なあ、あかんかな?」

メンバーが次々に賛同する中で、シゲが駄目押し。

「え?ああ、まあ…」

面食らった表情で聞いてたマネは思案し、再度先発組と連絡を取ってから頷いた。

「了解もとれたのでOKです。ですが私は…」

顔を曇らせるマネにシゲが声をかける。

「マネはしばらくは動かれへんやろ…とりあえず待機して先発組と合流してからおいでや。僕ら今後の撮影に支障なさそうなことしてるから。あ、さっき乗ってきた車のキーだけ貸して」
「それから連絡用の衛星携帯もね」

横から太一が手を出す。
電波の悪い島では自分の携帯は役に立たない。

「それと突然のことなので船の時間変更の手配がすぐつくかどうかが問題ですよね…問い合わせてみますが」

その心配は無用だよ。

「ああ、それなら大丈夫。いつものオヤジさんでしょ?連絡先教えて貰ってるし、俺らでアポ取るよ」

松岡の言葉。

「オヤジさんが駄目でも船さえ空いてればなんなら俺操船するし」
「ここから島へくらいなら俺でも運転できますよ」
「いや、お前この頃乗ってないんでしょ?やっぱりここは兄ぃに任せようよ」

俺たちがこう話してるうちにもちょこちょこ連絡が入ってるマネの手を煩わせることもない。
あっという間に松岡が連絡を取って船長の了解を得た。

くれぐれも無茶しないでくださいね!そう叫ぶマネに手を振る。

「そんなんせえへんって。なぁ?」
「どんな無茶すると思ってるんだろうね?島に一番慣れてんのは俺らだよね」

車へと歩き出しながらの会話。

「けど、なんかいつもと違うっておもろいなぁ」
「なんかわくわくするよね」

相槌に同意の声が重なる。

「Pやスタッフには悪いけど、こんなイレギュラーそうはないよね」
「画面に映ってるのは俺らだけでも実際にはその三倍くらいの人間が作業してるもんね」
「ね?今日は俺たちで島、独り占め!」
「独り?」
「あ、5人占めっす!」

太一くん、ごめんなさい!と小さくなる長瀬。

「よっしゃ、行くか」

みんなが車に乗り込んだのを確認してエンジンを掛けた。

俺たちの束の間の休日がはじまる。


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