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-countdown つかの間の休息- カウントダウン用の臨時控え室の扉を開けたらシゲが腕組みして進行表らしき紙を睨んでた。 「うーん」なんて唸ってる。 彼が段取りをつかむために書類とにらめっこしてるってのはよく見る光景だけど今回はちょっと どうやらシゲが睨んでるのは配られたカウントダウン仕様の『歌詞カード』の束みたいだ。 俺が部屋に入ったことにも気づかない様子にいたずら心を出して抜き足差し足で後ろに回りシゲ 「へぇ珍しいもん見てんじゃん」 思わず漏れた声。 「わ、なんや! ぐっさん、脅かさんといてぇな」 びっくりしたやん、なんて胸を押さえて見せるあなたの肩に手を添え揉みながら水を向けてみる 「えっらいマジな顔して歌詞カード睨んでるからさ。なんか引っかかるとこでもあった?」 「うん…」 今シゲが広げてんのは今年頭に復活した、方角を示す英単語の頭文字を組み合わせた名の後輩 テンポ良く一週間を乗り切ろうと歌うそれはCMにも使われたりしたから俺らにもなんだか結 「いったいなにがあなたをそんなに唸らせてるの」 「…ここ。読んでみ」 「…うーん」 「な?やっぱりお前も唸るやろ?」 シゲの指で示された個所を目でたどったら思わず俺も唸ってた。 『大人になる(の)ってどう言うこと? 外面(だけ)よくして(過ごしてたら)35を、すぎた頃俺達どんな顔(してる)?かっこい これって改めて活字で見ると結構俺らにはズシッとくる歌詞だよな。 「今まで出来る限りのスピードで走ってきたつもりやけどその結果『かっこいい大人』になれ そんなん自信あらへんわ…なんて溜め息。 溜め息で幸せ逃してどうすんの。 まあシゲは独自の美学っていうかポリシーを持ってる人だけどね。 たしかにそうかもしれない…けど。 「たぶんさぁ、いくつになってもそんな風には悟れないんじゃね?40になっても50になって そこで一息入れる。…それに。 「『かっこいい大人』を目指すってコンセプトがまず間違いかもよ?…なんてったって始末書数 メリー女史にも『あんた達は永遠の悪ガキね』って言われたばかりじゃん、こないだ。 「それに『かっこいい大人』の定義ってなにさ。知力?包容力?財力? いったい誰が決めんの?」 言葉の響きに引きずられてんなよ、まぁそんなところもイメージ先行なあなたらしいけどさ。 じっと俺を肩越し振り返って見上げてたシゲがふっ…と表情を緩めた。 「…かもな、こんなとこに引っかかる辺りでもう『かっこいい大人』やない、ってことかぁ」 やっぱりまだまだやなぁ、精進せんと…なんて苦笑してるシゲに笑い返して段取りの変更を告げ わらわら居るジュニアに優しく声をかけてるあなたは大丈夫、外から見たら十分『かっこいい大 …俺らの前でまで『大人』を演じる必要はないんだし。 『突拍子のない』って言葉が一番似合うあなた(ある意味『大人』と真逆な言葉だよね)に振り そう呟きながら俺も『聞き分けいい大人の皮』を装備した。 end. ブラウザを閉じてお戻りください。 |