-PRESENT-









『事情事情』(略しにくいタイトルだな)だとか『2曲目』とか『城島曲』と呼んでた
曲が結局総合集計でトップだったと連絡が来た日。俺は仕事終わりに一緒だった松岡に
有無をいわさぬ勢いで拉致られあいつの部屋にいる。

『兄ぃには協力して欲しいし、してもらわなきゃ話になんないのよ』今なんか摘むモン作
るから目ぇ通しといてくれない?そう言って冷蔵庫を覗きに行った背中、そしてそのセ
リフに添えられた『とりあえず』のビール缶、そして同時に目の前にばさりと積まれた
のは紙束……だいたい目測で厚さ5cmってとこか。

なんなんだ;勢いに押されとりあえずその紙束を取り上げパラパラ捲って見る……そこ
には俺が想像してた以上のものがほとんど形になって書き込まれてた。
5本分の絵コンテ。

感心してる間に3品作りあげて戻ってきたあいつと酒とつまみを交えて意見交換。

……しかしいつもながら用意周到な奴だねお前。

そう言うと目の前で奴のくちがあひるになる。

「だって用意しとくに越した事はないでしょ。どれくるかなんてわかんねぇんだし…慌
てんのヤじゃん」

ああやっぱりこんなところはA型だよな、と思う……けどあの人の曲のに一番リキ入っ
てんのはまるわかりだっつぅーの。

とりあえず見事勝ち残った1本の絵コンテ………………ふーん、こんな感じになんの。

「結果きた時どう思った?」


「…ああ、って」
「それだけ?」

「やっぱり、って」
「…『やっぱり』だよね。自分の曲もエントリーしてんのに『くやしい』よりも『やっ
ぱり』で、なんかすんなり納得しちゃってんの」

太一くん辺りはすげぇ口惜しがってそうだけど………。
その言葉に午前のロケで一緒だった太一を思い浮かべた。平静を装う表情を裏切って口
惜し気な口許。あいつの負けず嫌いのツボは思いっきり押されてたよ、うん。

「ああやって並べてみたらシゲと太一のはちゃんとサビをOAされる尺の長さに合わせ
てたり曲の端にまで神経が行き届いてる…そんな感じでさすが『メロディ隊』って気が
したよな」

「もっとくやしがるべきなのかなあーとも思ったんだけど、やっぱり日頃から自発的に
作ってるあの人達に付け焼き刃じゃ太刀打ち出来ねぇって実際……久々まじにハマった
からまた曲作ってみようかなとは思ったけど」

「そっかー?あんま久々なオファーすぎてなんだか結局ジタバタしてるだけで、あっと言う
間に終わった気がすんだけど俺」

あの緊張感はもうしばらくいいや…そう言う俺を複雑そうな目で見る松岡。俺の譜面が
またシゲの字だってうっすらどんより落ち込んでたもんな。







「………で?俺は今回何をすりゃいいワケ?松岡監督」

本題を切り出す。

「今回ハワイってのは端から決まってたじゃん、そいで考えてたんだけど…あの人のは
ラブソングの体裁になってるからどんな『絵』も使えんの」

スローに始まってテンポアップするメロディはまたスローダウンして終わる。
実はTOKIO一甘いかもしれないシゲの声で聞いた第一印象…衝撃?もまだ記憶に新
しい。たしかにあの曲が一番イメージに縛られずに作れそうだよな……あとの曲はあま
りにも直裁に『腹減った』を歌ってたし。

「番組の方のロケにどのくらい時間を割かなきゃいけないのかが微妙なんでさー。俺と
しちゃなんで今更ハワイまで行って企画でお笑いさんやらゲストさんやらと絡まなきゃ
いけねぇのかイマイチ納得がいかねんだけど」

俺らだけで『二時間ハワイ珍道中』とかでもよくない?
いろんなモン見て、いろんなモン食って、歌って……そんなんじゃ足りねえ?
みんなお茶の間にそれぞれいろんな角度から浸透してきてる気がすんだけどやっぱり
まだまだなのかなー…。

酒も入ってるのか松岡がいつになく素直だ。

たしかに知名度はアップしてるよな、キャラもそれぞれ立ってきて個人の番組もそこそ
こ。

「……ぼちぼち、や」

「へ?」

「ここにシゲがいたら『ぼちぼちやで、松岡』って言うぜきっと」

ほぼ11年かけて手にした『自由』は労せず手にしたもんじゃねぇだろ?一歩ずつ歩
いて辿り着いた場所。『やからこのまんま手ぇ抜かんと歩いてったら目指す場所へも行
けるわ、きっと』………そう言うシゲの声が聞こえそうだ。

「………………兄ぃ。アンタが使う『関西弁もどき』リィダァが乗り移ってる気がして気
味悪りぃ」

ぶすくれる横顔に忍び笑いを漏らし俺は本題に戻るため目の前の絵コンテを手に取る。



「…記念すべきメンバー曲シングル化第一号じゃない?『その時には絶対俺が監督!』
って心に決めてたけどそれがほんとに実現して……」
「おまけに大好きなシゲの、だしな?」

言えないだろうから補足してやったのに睨むなよ。頬骨のあたりうっすら紅いし。

「ロケハンだろ?先乗りすんのか」
「うん、ここにも書いたけど今回、あんま作り込む気はないのよ。前のはドラマ仕立て
にしたけどさ」

普段の俺ら、って感じで行きたいなーって。
もうコンドミニアムは押さえてあるって言うからそっちはいいとしてあとはイメージ通
りの海岸と犬と……あと夕日。兄ぃ波仲間の情報もあって詳しいんでしょ、穴場。


瞼の裏にはもう『その絵』が浮かんでるらしい松岡を見ながら俺も考える。

記念すべきメンバー曲シングル、シゲが作った曲を松岡が監督……………結構時間は掛
かったけど俺らがやって来た、やりたい『音楽』が『自分たちの手』でカタチになる。
『アイドルだから』『所詮アイドル』言われ続けてそれでも笑い続けたし続けてるけど
だからこそこだわった『メンバー曲シングル』それが。



「それに発売日って誕生日の前の日じゃん、あの人の」

出来ればいいすべり出しで祝ってあげたいでしょ、35歳の節目。
それにはそれなりの準備が大切なのよ!


早口でまくし立てるなよ、わかったって。

「OK、調整できるんなら先乗りにはなんの問題もねぇよ。俺らの愛で忘れられない最
上の誕生日にしてやろうぜ」

もとより異存はあるはずもない。
あの人の『幸せな笑顔』を見るためなら。



「あ、ならいっそシゲの誕生日にさ…………」

たった今思い付いた企みを告げる。


泊まりで海外、しかもメンバー全員今回はバラけることなく一緒……そう聞いたときか
ら楽しみだった何日間かにさらなる楽しみが加わった。












結果。

ちょうど揃う収録があったのは神の采配か俺らの執念の賜物か。
衣裳から私服に戻った俺らがケーキをいつも通りTOKIO喰いする前に丁度のタイ
ミングで吉報が届いた。

「デイリー1位ですっ!」

スタッフの弾んだ声に歓声が上がる。





「しあわせもんやなぁ僕、こんな日に誕生日祝てもらえるやなんて」

となりでシゲが目を細めてる。



ほころぶような笑顔に俺らもシゲからプレゼントを貰った気分になった。





そして。さあどのタイミングで渡そうか、タイミングを計ってるプレゼントがひとつ。
『TOKIOハワイ旅SPエディション』-松岡編長瀬編国分編山口編-。
回してた膨大な映像からの各人の選りすぐり。その気でハワイの時点からそれぞれ
気合い入りまくってたんだから。それと、4人からのメッセージin Hawaii。





一番新しもの好きで機器が揃ってんのはシゲん家だよなぁ、やっぱ………。
そんな次の展開を思い描きながら、誰からともなく差し出されたグラスにまた俺は
自分のグラスを合わせた。




「「「「「かんぱぁ〜〜〜〜〜い!!!」」」」」





END.

*****
し、茂さんがいない;
構想半日実働3時間、破綻してるところがあってもスルーしてやって下さい(滝汗)
毎度の言い訳ですが気持ちだけはパンクするほど詰め込んでますので。PV最後の『放すなよこの腕を〜』のくだりはなんだかメンバーから茂さんヘの、
そして茂さんからメンバーを含めた私達ファンみんなへのメッセージな気がしてなりません。
付いていきますよ、ずっと。
どうか幸せな誕生日を過ごして下さい!
HAPPY BIRTHDAY !!

そして、オリコンDVD音楽部門デイリー1位おめでとうございますv
お読みいただきありがとうございました!感想等お待ちしてます〜。



『シゲ』表記の統一他ちょこっと修正。2005.11.20

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