HAPPY BIRTHDAY2009






「あ、そや。誕生日やってんな、おめでとぉさん」

今年の誕生日プレゼントを何にしようか現在進行形で頭を悩ませてる当の相手からいきなりそんな風に話しかけられて俺はなんだか狐につままれたような気分になった。

「へ?」
「ぐっさんの記念日にかんぱ〜い」

俺らの看板番組のロケ終わり、列車の接続がどうにも悪くて帰るのは明日、慌てて押さえた今日の泊まりはこの地域で唯一つっぽいホテル…そんな状況。そして今のはスタッフと一緒に繰り出したラウンジのボックス席での会話。

戸惑う俺に気付く素振りもなくグラスを俺のにコツンと合わせて口もとへ運ぶのは今日の(と言うか今日も、だな)ロケの相棒なシゲ。まだ飲みだしてそんなに時間がたってないから酔っ払いとまではいってないと思うんだけどなんだか妙にハイだ。

ご機嫌なシゲの横顔を眺めながら束の間考える。
えっと、今は11月で俺は年が明けての1月生まれで…もうすぐひとつ年を重ねるのは俺じゃなくアナタですよね?シゲさん。
いったいどうしたの?いくらあわただしいスケジュールが続くからって月日の感覚が狂ったなんて言わないでね?ネタはあくまでもネタだから笑えるんだし、もしも現実になったりしたらみんなしてオロオロするしか出来ないんだからね、俺ら。
ぐるぐるぐるぐる、そんな疑問符に占拠される思考回路。

「ほらぐっさんも。祝われる当人がいったい何ぼんやりしてんねんな」
「ぇ?あ、ああ」

勢いに押されるようにしてグラスを空けると満面の笑みのまままたそこに酒を満たしたシゲが目を細めた。

「21回目かあ。
山口があの時、21年前事務所に入ってくれたからこそ僕はTOKIOとして今ここにこんな風に居れるんや、ほんまそう思たんよあの更新読んで。なら10月31日はぐっさんのもう一つの誕生日やん?
やから乾杯」

「21回目?」

しみじみした口調のシゲの言葉を思わずオウム返し。そこに含まれる数字が記憶の隅っこを掠める。なんだかここしばらくの間にその数字を目にしたような気がするぞ…………ってか俺が書いたんじゃん自分で、『Riding』に。

「あれ読んでちょっと感慨に耽ってもうたわ…そうかもう山口も在籍22年目なんや」
「ああ、なんだ俺のこないだ更新のことか『おめでとう』って。それならそうともっとわかるようにしゃべってよ、アナタそれはいくらなんでも言葉端折りすぎだって」

いきなりほんとの本気でボケたのかと思って焦ったじゃん、そう一瞬だけ睨むと俺の返しにきょとんとしたシゲは破顔して続けた。

「やってめんどいやん」
「…はいはい」

へらへら笑ってるこんな時のこの人に何を言っても無駄だ。

「でもそう考えたら山口と初めて会うてからもう22年てことか。そらお互いじじいになるわけやな」
「じじいになったのはアナタだけ。俺はまだまだ大丈夫〜」
「なんなん、ひとり若ぶって。裏切りもん」
「いや肉体年齢ならまだ全然イケてますから」

そんなたわいもない会話をひとしきり交わしてたらシゲが話のトーンを変えた。

「けど、ええなあ同期が居って。羨ましいわ、ぐっさんといのっちとか太一と坂本とか。あの二人もたしかおんなじ日に入ったんやったやろ?」

本気でそう思ってる口調。やっぱりちょっと酒回ってる?普段ならこんなことそんなにするっと口にだしたりしないのに。

「そっか、シゲと同期って……………そういや同い年ももう残ってないんだっけ」

シゲはたしかオーディションじゃなく社長の直接面接って形で事務所に入ったって話だから一緒の日に入った奴がいるわけはないし、シゲと同い年って言ったら俺のいっこ上だから……たしかGENJIの諸星とか寛之とかあたりだったような。
タメだから気安かったのかツアーの時なんかには結構連んでて、端で見ていた俺は超えられそうで超えられないその一年の壁が歯痒かった、そんな記憶がある。

「まあこんなん今さらゆうたってどないしようもない話やしな」

自嘲気味っぽく言ってまたグラスを傾けるシゲ。

入ったころは沢山いた同年代のやつらも辿り着くまでの道の果てしなさに年々減って…あきらめずに食らいつき走り続けたのが今残ってる面子。

「なに言ってんの、そんなはかないもん当てにしなくたってみんなアナタの周りにちゃんといるじゃん」

そう言ってにっこり笑ってやるとシゲの眉間のシワがやっとほどけた。

そう、そんな不確かなもんを思いを巡らすよりちょっとは周りを見回してみたら?
みんないるよ、ちゃんとそばに。もちろん俺も。
たとえアナタが要らないって言ってもね。

そうだ、つきなみだけど今年のアナタの誕生日には久々にメンバーだけの宴会をしようか、ライブの反省会も兼ねて。
いつでもできそうに見えるけどマネやスタッフ抜きの5人でゆっくり集まる機会って実際は近頃ほとんどないから……メンバー大好きなアナタはきっと喜んでくれるはず。
なにしろ三十路の締めくくりだし、あいつらと相談して思い出になるような演出を考えよう。

機嫌の上向いたシゲと考えを纏めた俺はも一度乾杯をして飲み続けた。
                                                                 end.
*****

去年書きかけていた話をなんとか完結させてみました。
2009年10月末の『Riding』を元にしたお話となっています。手元に残っていないのでうろ覚えですが内容的には実は同じ日に事務所に入ったというイノッチへ宛てたメッセージだったかと。
『10月31日は山口さんの入所記念日』『2009年10月末で22年目』それだけの情報からひねり出した文章でした。
今更なぁ、と悩んだのですがとりあえずUP。


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